■実施設計では具体的に現場で使用する図面を作成します。
建築主、設計者双方の学習も進んできましたので、決定事項を確認しつつ、実際の工事に必要な図面(平面図・立面図・仕上表・配置図・矩計図・構造図等々)に着手してゆきます。
しかし、これで建築主さんへの相談を止めてしまうわけではありません。
具体的寸法を割り出してゆく過程でみえてくる問題点、関連官庁との打合せによりさらに浮かび上がる問題もあります。
使用材料のサンプルを確認していただくのもこの頃です。
実際に五感で感じておきたい設備、キッチン、床暖房、便器、手すり、洗面化粧台、照明器具、生ゴミ処理機などの実物はあらかじめ手で触れて感じておきます。
あまりショールーム巡りをしすぎて営業マンさんに追い掛け回されないよう注意してください。
特にキッチンは奥様のお城です、実際の使い勝手をショールームまで足を運び確認していただくのもこの時期です。
天板の高さは身長に合いますか、奥行きが深く感じないですか、しゃがみ仕事が多くなりますが大丈夫ですか、水切棚は上下可動式でなくて良いですか、コンロは電磁式が安全ですがおばあちゃんの意見は、収納力は十分ですか、・・・
個人的にはあまり便利すぎるのも感心しないのですが・・・・
上記のような過程を経る意味は意外と大きなものです。
確かに一方で実施設計図を描いているわけですから、建築主さんのショールームからの一本の電話で設計変更をしなければならなかったこともあります。
しかし建築主さんがご自分のこだわりを発見されたり、それまでのご自分の意見が予想外に予算のかかる内容であったことに気ずかれたりすることは、後悔のない、より理想に近い工事を実現するには必要不可欠となります。
また小さな見落としが建築主さんの大きな不満につながるのも経験上得た知識です。
必要なれば設計変更も仕方のないことなのです。
ここで大切な打合せ会を経ておきます。
概算になるかもしれませんが、どのくらいの工事費になるかを算定してみます。
夢いっぱいの建築主さんを現実の世界に呼び戻してしまうことになります。
資金の不安があれば融資の計画も立てましょう、融資条件の内容によっては設計図の仕様に変更を加えなければなりません。
|