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これまでに設計してきた住宅や建築の家づくりプロセスを紹介します。
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暖炉が数寄
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外壁吹き付け
外壁は建物の外観イメージを決定する要素ですので、
窯業系サイディングにオリジナルの色を弾性リシンにて吹き付けます。
この日はそのための養生と吹き付け開始です。
吹き付けの色はチャコールグレーです。
写真では黒に見えますが実物は青みがかった感じが残像で記憶に残ります。
POINT
色は全体のバランスで決める
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外壁吹き付け
ベランダ西の木調の部分はサワラという無垢材です。
メタリックなベランダを受ける柱は円形にくり抜いてあり、木目がハッキリ見えています。
木の色と金属のメタリックな部分とチャコールグレーのバランスはそれぞれがお互いを強調しあって、
全体としての存在感を作っています。
「暖炉が数奇」というサブタイトルは、暖炉を嗜好してみえる建築主さんで取り入れて
設計されているからというだけでなく、数寄屋の軽快さと暖炉の存在感と暖かさ
そして日本の伝統建築の懐かしさや重厚さがそれらにミックスされて、
マッチングが成功していると感じたからです。
POINT
個性は宝
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化粧丸太
暖炉の土間の天井に作った化粧丸太に塗装をしたところです。
この丸太は「ここに居るぞ」といった自己主張をしていますが、
建て方の時にもご紹介した丸太がこのようなあしらい方になりました。
力学上で必要な物は、デザインだからといって取ってしまわずにそのまま残して、
人の目に触れるようにしておく工夫をするという考え方は、
伝統的な日本の民家での扱いを周到しています。
建築主さんの奥様のも「こんなところにこの人が居たんだー」といった感想でした。
丸太は素の状態で居るようで大袈裟かも知れませんが人格さえ感じてしまいます。
POINT
伝統民家の個性を残す
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暖炉の土間
暖炉を設置する土間の輪郭が浮かんできました。
この土間は南に面しており中庭が望めます、玄関から直通で入れる位置にあり、
接客専用ではなく普段から使える玄関になっています。
これも建築主さんの個性です。
右にあるヒノキ6寸角の無地の通し柱は、玄関でお出迎えといった雰囲気で
人格をもった家族の一員としてこれからの歴史を共に刻んでいってくれることでしょう。
例えば、靴を履くときは捕まってしまうとか、頭をぶっつけてしまったとか、
暖炉にあたるときはもたれるとか。
設計者としても思い入れのある柱です。
POINT
身近な文学的響きのあるいえ
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勝手口の土間
この写真からここがどこなのかが想像つかないでしょう。
玄関を入ってちょっとだけクランクした死角になるような位置に、
流し台の脇から出られる勝手口の土間があります。
これはそのクロスが仕上がったときの様子です。
クロスの選定は建築主さんの提案で貼りました、
現物の色やテクスチャーを忠実に表していないのが残念ですが、
他とのバランスも良く、良い色合いが出ています。
左面の壁は全面が棚になり、台所の収納の役目も担っています。
POINT
家の中に土間を入り込ませる日本人の知恵
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石臼
これは建築主さんのご実家にあった石臼です。
何らかの形で利用しようと中庭の一角に運び込まれてきました。
靴脱ぎ台の石として、手洗いの水受けとして、
玄関入り口の花壇プランターとしてなどの案が出ていますが、
この時点では悩みの種だったようです。
出来上がった風景を想像している設計者としては、
思い出ある住まいから持ち込まれた品物が仮に建築主さんにとって無用の長物であったにせよ、
そこに存在するだけでご両親の顔が浮かんでしまいます。
エポックアイテムとしての貫禄充分です。
POINT
思い出の品は住まいに時間軸という線が浮かばせる
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屋根から
北側には小山が見える環境です。
岐阜市の西部にあり、周囲の山といっても低く、かといって平野の真ん中でもない、
山風が吹くこともない、積雪量も少ないところです。
街は名古屋市や岐阜市のベッドタウンとして発展してきたようです。
人柄も温厚な地域です。
POINT
街の雰囲気を知るのも大切
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中庭
季節は5月の末、中庭の樹木も青く色づいてきました。
車庫の北側の中庭から眺めていますが、この部分にある土は造成前からあった畑土です。
この日は中庭や車庫と道路の接続部分、
北側のフェンスや周囲の整地についての検討を加えました。
設計図には建物だけでなく敷地全体を整備する計画になっておりますが、
建物が完成してから現場の状況を建築主さんと再確認します。
敷地周囲について設計時点で想像していた思いと相違が出てくるのもこの時期です。
POINT
外構は高低差を押さえ直すこと
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アプローチ
玄関の前から表の市道を眺めているところです。
玄関の前から市道までの距離はご覧のような位置関係にあり、
京都の町屋のように長いアプローチになっています。
町屋の風情を目指しているわけではありません、中庭は気化熱で涼を取るわけではなく、
畑という極めて生活に密着した存在感有るものです。
柱が写っていますがアプローチに用意されているガルバリウムの屋根は、
中庭をコの字型に囲むことによって、敷地全体を安心感と一体感を作ってくれます。
POINT
中庭の建物周囲に与える環境的影響を知って欲しい
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暖炉の土間左官工事
この日は暖炉の土間の壁に仕上げるアートパレを施工する日でした。
車庫には材料と道具が置いてありましたのでちょっとスナップしましたが、これも日常動作です。
特に容器の裏や箱の脇に書かれている製品の説明書きはアップしておきます。
仕上がりを推し量る良いデータになるこがあります。
アートパレという材料は色の種類が多く、テクスチュアも土の感触を出してくれます、
それでいてケイ藻土のように柔らかくないのが特徴です。
POINT
素材のアップ写真はメンテの為にも残しておこう
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デッキ材
ウリンという木材を南面のテラスデッキに張ります。
別名アイアンウッドというくらい水に強くて耐久性がありますが、
モノによってはヒビが入ったりするのが玉にきずです。
非常に硬いので、ご覧のようにビスで下地に完全固定をします。
この日はその固定の仕方について現場で打合せをしていました。
日本のヒノキの濡れ縁のように作ったこともありますが、
メンテナンスの煩わしさを考えるとウリンでもいいでしょう。
雨に当たると樹液が浮いたり、白く変色したりしてきますので、
定期的にオスモなどの木材保護材を塗る必要がありますが、簡単に腐ったりしません。
POINT
木材は適材適所
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