建築ジャーナル掲載
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数奇屋の「数寄」は「好き」の意も含まれています。
南北に長い敷地にプランされた中庭形式の住まいでは
ウイークデーと週末のメリハリある生活がイメージ出来て好きです。
南の通り土間の暖炉が好き、チャコールグレーの外壁が好き、玄関への長い通路が好き・・・
外観からは想像しがたい暖かな内部空間が横に縦に広がっています。
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ポイント |
・建築主のご夫妻は暖炉の魅力をよくご存知でプランの中心的存在となった。
・毎日の生活動線を平面プランに取り入れるべく徹底的に考えた。
・南北に長い土地を畑という趣味のスペースで分割し、北に住まい南に車庫兼農機具倉庫とした。
・アイシネンにより気密断熱性能を確保し、暖炉の強力な暖房能力により熱的に均一な
家全体がワンルームとなることを目指した。
・気密性能により北側屋根のトップライトより中庭へ抜ける空気の流れを作る。
・キッチン、洗面所など水周り機器の性能を吟味して一生使えるものを選択した。
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外壁の色はチャコールグレー(紫みの暗い灰色)。
袖壁のさわら板のない、チャコールグレーとメタリックとの組み合わせだけの外観を想像してみてください。
薪ストーブの存在感も手伝ってどれが主役ともいえないバランス感と
古民家風の重みのある趣を感じていただけないでしょうか。
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通り庭のように奥へ入り込むアプローチには昔ながらの日本の伝統的趣です。
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ベランダから眺めた中庭には畑であった頃からあった樹木に居場所を与えてあります。
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道路側の車庫は車庫というより室内におけるロールスクリーンの役目と言ってしまうのは強引でしょうか。
まったく奥が見えないよりは生活感漂わせており、親しみを覚えます。
これも木という素材の成せる技。
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この画像では伝えきれない暖かみのある空間です。
無垢の木材の表情を生かすには、そのものがそこに存在するだけでは生かしきれないものです。
杉とカバ材の相性、張る方向や割合、
微妙なバランスが控えめな落ち着きを引き出すコツのように感じます。
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ここは2階の廊下ですが、床は全面的に竹のフローリングです。
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階段室上部のトップライトは夏の通風と安定した明るさが得られます。
忘れていても雨を感じて閉じてくれます。
この住まいの室内環境を守る「環境ボックス」かもしれない。
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ディテールと素材、配色、プロポーションの研究を重ねて創り上げたラバトリーと呼びたい洗面所です

詳細な紹介をアップしたい部分がたくさんあるのが今回の「暖炉が数寄」、
とりわけオールステンレスのキッチンには、工夫がたくさん隠れています。
東京の辰巳工業の作品、是非実物を見てほしくなるほどの仕上がりです、
辰巳さんのホームページにも紹介されていますが、今も残るというより
今こそとぞ蘇る江戸職人の心意気を感じられます。
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