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これまでに設計してきた住宅や建築の家づくりプロセスを紹介します。
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暖炉が数寄
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ガスコンロ
辰巳工業のキッチン取付は5月25日に行われました。
この年齢になって今更ですが私の誕生日です、
建築主さんとの詳細な検討を重ねて100パーセントではないにせよ、
機能性とデザインを追求した満足の設計になったこともあり、忘れようのない日になりました。
設計者としてしか得られない充実感を得られた個性の結晶です。
話題とは関係ないような写真ですが、ガスコンロはリンナイの製品です。
POINT
機器に拘ろう
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コンベックと全体寸法
コンベックもリンナイの製品ですが、
脇の引き出しが壁までキッチリ納まっているのがお分かりでしょうか。
現場でのエピソードです。
L型の流し天板は工場加工時点で一体化されています。
それが辰巳工業たるゆえん、加工精度のすばらしさですが、
運び込む前の寸法では天板が入らないのでは・・・という辰巳工業の小林さんの見解でした。
それは取り付ける直前の日に現場寸法を東京の事務所までお知らせして
検討の結果のご返事でした。
ところが現場は綺麗に納まってしまいしました・・・・。
POINT
なせばなるキッチン取付
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ステンレス流し台
グローエのレバー混合水栓のデザインと機能性を選択する、
L型コーナーの形状として流し下をオープンな空間として自由度をもたせる、
床下点検の位置、壁のキッチンパネルの選択、流し台上部のモザイクタイルのデザイン、
その上のステンレスオープン棚、コンセントや手元照明のデザインやスイッチの位置、
天板先端のタオル掛け手すりなどなど。
建築主さんの嗜好にフィットする仕上がりになってきました。
写真右端にある食洗機はアスコの製品です、大容量で中華鍋まで洗えてしまいます。
キッチンをステンレスで作るという考え方は、実生活での使い方を踏まえた方の選択ではあるのですが、
それにしても見栄えのする実用性といった感じです。
POINT
一生使えるという選択は人生を真正面から受け止めているよう
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辰巳工業の匠技
作業は1日で終了しましたが、東京からの出張工事ということで、
あらかじめ設置スペースの形状や寸法、
接続機器の種類や現場状況などの情報交換を設計者がほとんどこなしてしまいました。
辰巳工業の小林さんとの精度の高い打合せが出来たことも功を奏していますが、
加えてステンレスのオリジナルキッチンを仕上げる現場サイドの動きを経験しておくことが、
良いデザインを仕上げるコツを学ぶことにリンクしていると感じたからでした。
ステンレス表面のテクスチャーなど完成の実物に勝るものはないのですが、
完成の写真を別のページでご覧下さい。
ちなみに吉川化成のフードの脇の換気扇は吸気扇になっており、
換気扇が連動して動く同時給排気の為に用意しました。
POINT
設計者はディテールだけでなく工程を学ぶこと
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杉の板戸
洗面所の入り口、杉の板戸のディテールです。
この板戸の杉板は実はJパネルの子分のような存在です。
無垢には違いないのですが、無垢の弱点であるソリのない杉板です、ハギ板と呼ばれるものです。
私の年代ですと小学生の頃の学校にもよく使われていました、懐かしい存在で、
心休まる引き戸の雰囲気です。
建具屋さん曰く、そんなに難しくないし費用もそんなにかからない、
建具屋はこういうのをまた使ってくれるようになると嬉しいんですけれど
・・・これからの設計にも採用したいモノです。
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踊り場下の本棚
階段下で踊り場を支える柱が化粧で右端に見えています。
以前のページでご紹介した階段のササラで出来た(実質)耐力壁に直角に設置されているのが
この本棚です。
使用されている素材はJパネルです。
Jパネルは単体でも地震の耐力壁として使用できますが、家具や造作の化粧素材として
はめ込んでみても面白い表情をだします。
このような本棚の背板をササラで出来た(実質)耐力壁に直角に設置することによる効果が、
踊り場と本棚という実用性とドッキングしているというアイデアです。
POINT
家具という耐震壁
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トイレット
5月の末にトイレの便器も取付が完了しました。
最近多くなったタンクレスタイプのTOTOネオレストは、ますます進化しつつあります。
タンクを後ろに置いていた頃に比べるとデザインがスマートになってきただけでなく、
サイズも小さくなってきて、室面積が狭くても邪魔にならず
使用水量も節約できるようになってきました。
手洗いは竹で穴をくり抜き、TOTOCERAシリーズをはめ込み、地窓の面台も竹です。
POINT
ちょっと考えたいときの憩いのトイレタイム
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着替室
一見すると大きめのウヲーキングインクローゼットといったふうにしか見えないことでしょう。
クロスの選定もちょっと地味ですが、分かりやすく着替え室とネーミングしてあります。
この部屋の中にご夫婦の全ての衣類が収納されて、かつ着替えが出来てしまう
スペースも用意されています。
さらに空間を最大限生かせるように上部空間にも作り付け家具が設置されたところです。
位置的には洗面所と台所のすぐお隣ですから、朝の忙しい時間には効率よく準備ができます。
POINT
デザインという個性より暮らし向きという個性
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暖炉の土間の床
玄関から連続している暖炉の土間の床はINAXの黒瑠というタイルですが
硯石のようなテクスチャーです。
この日はちょうど床タイルが仕上がったところです。
耐火煉瓦が積まれた前に暖炉が設置されますが脇にあるパイプは気密度を高めることによる
給気不足を補うために用意されています。
右に引き戸が4枚建て込んでありますが、普段の入り口としての役割に、
居間と連続的に使える暖炉の土間としての価値観をプラスしてあります。
嗜好は違うかも知れませんが古き時代の民家にあった「たたきの土間」の便利さと
親しみを思い出させてくれます。
POINT
屋内の土間は日本人の心
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杉板とスポットライト
6月も近づいてきたある日に撮った天井とスポットライトです。
杉板の節と赤白のランダムなテクスチャーと壁のプレーンな表情のバランスの中で
スポットライトの器具全体が光っている様子が気に入っています。
もう何度も杉板の天井は作ってきていますが、杉板に何が一番似合うかをいつも考えていますが、
今回は及第点。
POINT
繰り返しがマンネリだとは早計
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杉板とスポットライト
部屋の雰囲気をドラマチックに出来ない工務店さんにはとにかくスポットライトを
使ってみたらとアドバイスすることがあります。
デザイナーの傾向が強い設計者、構造的な弱点そっちのけで恣意性の強いデザインだけを
売りにしている方の中にも、
同様にスポットライトの多用と外観のシンプルさだけを強調されている場面も見かけます。
話題が逸れそうですが、こうしてアップにした写真を完成して時間をおいて見ていると、
杉板とのマッチングには照明の形状の面白さを工夫することがポイントでしょうか。
POINT
時間をおいて考えることの面白さ
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ダイニング天井と照明
松下にこんなアンバランスな器具があります。
これは当初の設計には設定されていませんでしたが、出来てきた空間を見て
建築主さんと相談の上取り付けることになりました。
危なげな位置に着いているモノというのは意外性がデザイン性に繋がっているものです。
見た目より丈夫で明るい照明で、その証拠に何年たっても廃盤になっていない拾いモノです。
POINT
品物単体を見つめること
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居間で打合せ
現場での打合会は毎週土曜日にしてありました、
5月のある土曜日はご覧のように内装下地が出来上がった居間に机を置いて
打合せを進めていました。
この段階までくると現場監理も終盤戦です、建築主さん自身の感想をお訊きしていると、
設計時点で検討を重ねていても100パーセントの納得でなくて、
具体的な空間を目の当たりにして初めて発見すること、
設計者から聞いていてご自分の意見を通さなくて良かったと感じたこと、
逆に建築の技術的なこと法的なことに照らし合わせると
意見を引っ込めざるを得なかったこと、などなど。
医療の世界では叫ばれているインフォームドコンセントではないですが、
この頃には設計者とのいえづくりが良くも悪くもどのようなモノだったかという
冷静な感想を聞かせてもらうことにしています。
POINT
どこまでいってもコミュニケーション
仕上りは住宅、建築ギャラリーをご覧ください。
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