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これまでに設計してきた住宅や建築の家づくりプロセスを紹介します。
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暖炉が数寄
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建て方
いよいよ2月の9日の建て方開始です。
設計者にとってはまな板の上の鯉、何故かというとプレカット図面
(木材の加工工場が製作し、加工機械に入力するためのデータを整理した正確な加工図)を
何度も確認して修正し設計図との食い違いを直し、
現物の材料の確認を終えて迎えたこの日だからです。
古き良き時代は全てが大工さんの仕事であったことですが、
現代では設計監理者の仕事になったということです。
中央に見えている丸太とそれを受けている梁の高さは建具の高さやベランダの
納まりに微妙に影響を部分でもあります。
何度も加工図を起こし直した部分です。
削り終えてからあらためて工場へ確認に行ったこだわりの部分です。
もちろんですが、建築主さんにとっては記憶に残る日になるわけです。
その思いを共有できるのは施工者ではなく、明らかに設計者です。
POINT
プレカット図の確認は最低5回
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防水用ゴムアスファルトシート
その名も「まもる君」、万が一瓦が割れるような事態が発生しても野地板まで雨水が
入らないように守ってくれます。
釘で突き破られていてもゴム系なので釘にまとわりつくように周囲を防水してくれます。
POINT
時代は変わっても水は木の敵であることを忘れない
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屋根材料
監理のコツとでもいいますか、建て方の日は建築主さんとお話しする時間が充分とれるので、
建物のボリュームが分かってきた段階で、
屋根や外壁など外部廻りの素材や色についてご意見をお訊きしておくと良いようです。
この日も屋根の瓦とガルバリウム鋼板についてお話しを伺っておきました。
POINT
建築主さんと意見交換をする時間を惜しまない
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建て方
梁が上下に複雑に重なっていますが、ベランダの床板を受ける部分が一段下がって、
さらに下がった梁のスパンが大きいので暖炉の間の化粧丸太で受けている部分です。
といって説明しても図面を何枚も並べて説明しないと分かないのを承知で書いていますが・・・・。
意匠を面白く作るにはこういった納まりもプレカット図に書き込んで設計内容を再検討します。
また木造の場合、こういった上下に重なる納まりというのは、
金物で固定してやると机上で計算している以上に耐震性が増すということです。
POINT
設計内容は現場であらためて説明しよう
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建て方
このあたりまで建て方が進んでくると足場を組み始めます。
足場というのは作業をするためのスペースを確保するためのものであることは言うまでもないことですが、
階段足場が上から見渡せる位置に設置されると現場監理にもまた管理にも良いようです。
ややこしい言い回しですが、意外とこれに気づいてみえない現場担当者がいます。
階段足場は建築主さんにとっては別の意味で喜ばれることがあります。
本当は危険なので登って欲しくないのですが。
POINT
建て方では木の香りを嗅いでみよう
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建て方
「昔の大工は金物使わずに納める技量があった、それに比べて今の大工は・・・・」
なんて言葉をお聞きななったことはありますか?
日本最大の木造建築、東本願寺の本堂の改修が進められていますが、
いろいろな金物を工夫して上手に使われているのを見学してきました。
現代の木造軸組工法を扱う設計者は「金物マニア」にならなければならないと思います。
POINT
構造金物はインターネットで探そう
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建て方構造金物
梁にタルキを固定しているのは「クラ金物」、まさに鞍のようにまたがっています。
これも建物の耐震性能を上げる隠されたコツ、
筋交いのような壁を強くすることは神経質に叫ばれていますが、
屋根や床など水平面を強化することは忘れられがちです。
耐震だろうが免震だろうがこういった細かな配慮がなければ同じことです。
POINT
構造金物の確認で現場監督さんに嫌われてもいい
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建て方構造金物
これはホールダウン金物といいます。
金物の中でも力持ちの部類ですが、
この柱の上部にも同等の耐力を持つ引き寄せ金物がないと意味をなしません。
それは地震時の振動が基礎から順に上部構造へ伝わってゆくことを想像してみれば自明の理。
よく年配の大工さんが「金物なんて使うのは下手な仕事の証拠だ」なんて言いましたが、
死語になりつつあります。
もっとも構造金物自体が木造の軸組工法とどのように関わっているかが
体系化されていなかったのですから、意味がずれているのでしょうけど。
ちなみに東本願寺の改修が進められていますが、金物だらけでした。
POINT
金物を木造の味方にしよう
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建て方構造金物
なんだこれ?と思うほど小さな金物でしょう。
リトルコーナーなんて可愛いネーミングですが、
これでも約6KN(600KG)の短期許容引張力に耐えるという
木材技術センターの認定を受けています。
・・・と言われても困る方のために書いておきますが、新潟の中越地震で壊れていた木造建物には、
筋交いがあっても壊れていた、こういった接合金物さえ構造計算に基づいて入っていれば、
助かっていたのに・・・・というケースが幾つもあったようです。
POINT
金物は構造計算に基づいてバランス良く入れよう
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耐力壁・構造用合板
耐力壁として構造用合板を内納めで使用した場所のチェックを行っているところです。
実はちょっとまずい例です、構造用合板を打ち付ける桟の断面寸法が不足しています。
したがって、強化する意味で写真にある柱に平行に打ってある桟に
直交させた桟を追加で打ってもらいました。
この例のように面材(この場合構造用合板)を柱に固定して耐力を期待するときには、
釘の役目が重要になってきます。
過去の時代には釘を使う大工は腕の悪さを象徴するような言い方をされましたが、
現代ではそれどころか、釘やビスの使い方や種類あるいは強度に精通している
大工がもてる時代になってきました。
尚、建設会社のご方針で性能保証の検査も私の検査とは別途で行われていますので、
現場担当の山田さんにとってはたいへんだったようです、ご苦労様でした。
POINT
たかが釘、されど釘
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日本瓦
瓦は三州(愛知県三河地方)の「さくら山」という土ものです。
「土もの」とは陶器に釉薬という上薬をかけた赤い色をしたものではありません。
陶器瓦は上薬によってはテカリが強くて個人的には意匠上好きではありません。
より鈍いツヤをしており、意外と現代的なデザインにもマッチします。
色の具合や形のそろい、屋根に対する寸法割付、瓦の固定の仕方、ノシや鬼瓦の形状、
耐震的な配慮などをこの段階で現場担当者と打ち合わせておきます。
おすすめしたいのは建築主さんにも瓦に触れてみて、手触りや重さを体感してみることです。
設計事務所とのいえづくりでは慌てる必要はありません。
プレハブメーカーのように知らぬ間に完成させてしまいませんので、
ご自分の家をよく見てみてください。
POINT
瓦は日本のなつかしさ
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