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これまでに設計してきた住宅や建築の家づくりプロセスを紹介します。
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生きたバリアフリー
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〜防湿フイルム〜
写真は畑ではありません・・・今日では一般的になりました土間下の防湿フイルムなんです。
何故わざわざ敷くのでしょうか・・
明秀寺で扱う基礎の形状は基礎断熱のベタ基礎としています。
このフイルムがないとすぐ下の土が持つ湿気がコンクリートを
通過して上がってきてしまいますがその湿気の通過をこのシートで防いでいるわけです。
当然、ビニールは腐食しない仕様ですし厚さも0.2mmあり破れにくいんです。
よーく見ると白っぽいですよね?
このシート自体は半透明なんですが実は湿気が上がって水滴化しているのです・・・
雨はしばらく降っていませんが、9月の後半で空気と土の温度差が激しいことで結露がおこっていること、
直射日光が当るため土の水分が蒸発しようとしてもシートで
逃げ場がなくこのような状態になったのでしょう。
もちろん問題はまったくありません。
むしろこれくらい湿気が上がってきてもしっかりと防いでくれている良い証拠になります。
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〜配筋検査〜
配筋をほぼ組み終えた写真です。 工事監理を行う時には配筋のチェックを行います。
チェック項目は沢山ありますが・・・配筋のピッチが正しいか、使用している太さは良いか、
2本をつないでいる時に重ねている部分の長さは良いか・・・などなど。
しかし、何回となく配筋検査をやっていますが、今だに鉄筋の上を歩く事に慣れませんね・
・・運動神経は良い方なのですが、網目の様になっている鉄筋の上を歩くとふらふら〜ふらふら〜
職人さんに心配されます
時には四角の中に足が・・・
鉄筋を組んでいる職人さん達は鉄筋を肩に担いで平気な顔して歩いていきます・・・
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〜型枠・コンクリート打設〜
上の写真は組み終わった型枠にコンクリートを打設している様子です。
当然ですが型枠を組み上げた時にも現場のチェックに入ります。
チェック内容は型枠の通りが真っ直ぐか、レベルを間違えてないか、鉄筋のかぶりは確保できているか、
点検口の位置は間違えていないか、ボルトの位置形状・・・などなど。
その工種ごとにチェックする項目も異なってきますからチャック項目を事前に頭の中で整理してから、
いざ現場へ・・・。
当然ですがコンクリートを打ち終えたら修正はできませんから。
コンクリートの打設はコンクリートを練って流し込めばそれで良い・・わけありません。
では何が重要なのでしょう・・打ち込み時の硬さ・・
スランプと言いますが硬すぎても柔らかすぎてもいけません、
設計時点で設定されている強度のものか・・寒い時は温度によって補正しなければなりませんし、
固まった時に基準の強度がでるか。
コンクリートを作ってから打ち込むまでの時間・・
コンクリートは工場で作ってからすでに化学反応して固まりはじめます。
当然、時間が経てば硬くなり強度もでにくくなります。・・・などなど、
沢山ありますから打設時はそれらのことに気を配っています。
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〜コンクリートの試験〜
「コンクリート打設」でも話しましたが、
コンクリートの打ち込む時点での柔らかさ等はその場で試験を行います。
写真がそうですが左下からスランプ試験(※8) 右下の圧力釜みたいなものが空気量試験(※9)
中央の奥の方に見える筒が
圧縮強度試験(※10)加えてコンクリートに含まれる塩化物量も確認します。
※8 スランプ試験・・・
まだ固まらない状態のコンクリートの軟らかさ(硬さ)を調べるための試験方法の一種。
高さ30cmのスランプコーンにコンクリートを詰めた後にスランプコーンを引き揚げ,
沈下(スランプ)した高さで表す。
※9 空気量試験(くうきりょうしけん)・・・
まだ固まらないコンクリートの中に含まれる空気量を計る試験で、
一番よく用いられるのは簡便な空気室圧力方法というもので、
コンクリートを密閉した容器に入れて圧力をかけコンクリートの中の空気が収縮するのを利
用するエアメータというのが用いられる。
※10 圧縮強度試験(あっしゅくきょうどしけん)・・・
材齢7日(1週)、28日(4週)型枠取外し時期の決定用など必要な試験に対して
それぞれランダムに3個づつ採取し破壊して強度を求めその平均値をとる。
1回の試験結果は購入者の指定した強度の85%以上が必要となる。
※11 塩化物量(えんかぶつりょう)・・・
コンクリート中の塩化物イオンの量を測定し測定値が0.30kg/m3を以下としなくてはならない。
塩化物はコンクリートの中にある鉄筋に大きく作用し腐食させ強度の低下をもたらす。
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〜建方〜
今日はいよいよ建方当日です。
開始前には住職よりありがたいお言葉を頂戴して工事の安全等を祈願して全員でお酒を頂きます。
もちろん飲みすぎて酔っぱらうと仕事にならないのでほんの一口・・・
・・・職人さんは物たりない様子・・・職人さんには酒豪がおおいですからね・・
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〜梁と梁との接合部〜
梁と梁の接合部(仕口:しぐち)(継ぎ手:つぎて)には伝統的工法から
現在の工法(近代工法)にいたるまで様々な形状があります。
伝統的な工法では今日のような工業製品を製造する技術もないため、
木材同士をいかに一体となるようにつなげるかを長年にわたって思考錯誤を繰り返し、
現在の伝統工法と言われる仕口や継ぎ手の形状になりました。
それらは、釘や金物を使わない物がほとんどで込栓やシャチ継ぎ、追っかけ大栓、蟻継ぎ(ありつぎ)、
鎌継ぎ(かまつぎ)等の名称が付けられています。
(伝統工法の継ぎ手部)
現在、在来工法の主流となっているプレカットとは伝統的な工法の一部を機械で自動化させることで、
品質の安定と加工にかかる時間の短縮を両立させたものです。
大工さんに全て手作業による加工をしてもらうと一般的な住宅でも加工に1ヶ月かかるものが
プレカットでは半日たらずで出来あがります。
ただ、やはり機械ですから複雑な物はできないため、多くの工場では大工さんとのコラボレーション
・・・単純な加工は機械で・・複雑なものは大工さんに・・
と種類や形状によっては分離してやられているようです。
近代工法では金物を主流とした物が多く、梁とプレートに
ドリフトピン(※10)を通して固定する方法が多いです。
これは金属の強度を利用することと在来工法では木材に加工をするため多くの欠損(穴)があいて
しまいますが(断面欠損)この方法ではボルト穴程度で材料の強度の低下を抑えることができます。
それぞれの工法は一長一短、好き嫌いもあるでしょう・・・
が、私的にはやはり在来工法の粘りのある工法が好きです。
前置きが長くなりましたが、明秀寺では純粋な梁のみ機械を導入し跳木(桔木:はねぎ)や登り梁、
継ぎ手には大工さんの手加工で行っています。
内陣・外陣部で7mとばしている大梁に掛けられる小梁の仕口のみ断面欠損による強度低下を
少なくするためドリフトピンを用いた金物工法を採用しています。
(大梁にかかる梁の取付部−金物工法)
構造材の加工図のチェックの際、この部分を通常の蟻加工としていました・・
図面だけでは意味が理解できなかったようですね・・・
当然、チェック図を返却する際、理由を説明して加工形状の修正をしましたが、
もしチェックする場面がなかったら・・と思うと怖くなりますね。
このような場面でも監理の大切さがわかって頂けるとおもいます。
※10ドリフトピン(どりふとぴん)
・・・先がやや細くなっている鋼棒で在来の仕口に代わりプレートと梁に穴をあけ鋼棒を差し込むことで
一体とする工法
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〜上棟式〜
上棟式(※11)又は棟上げ(むねあげ)ともいい地方によってさまざまですが一般には
地棟(※12)が上がった状態で行いますが
今回は地棟と呼べる丸太梁がないため建方後3日目にて行う段取りを決めて
住職と坊守さん(奥様)が用意してくださった食事を頂きました。
写真は夕方にようやく隅木が入り屋根のラインも現れてきたのでご夫婦で記念撮影をしたところです。
※11・・・上棟式(じょうとうしき)
建物の最上部の部材を取り付ける儀式的な意味とこれから建築をやってくれる大工さんや
職方さんとのコミュニケーションを図るという意味で大切な役割をもっています。
※12・・・地棟(じむね)
小屋組みの一部で特に棟木の下に平行に取りつく一番太い丸太梁
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