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私たちがこれまでに設計し現場監理をしてきた住宅や建築を紹介します。
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T字ハウス
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間取りの平面形はアルファベットの「T」になっています。
敷地の形状は北側に尖がった部分が向いている直角三角形、
その一番長い東側の斜辺に道路は接しており他の2辺は水路に囲まれています。
かつて河川堤防であった事情から現在の形になったようです。
南側の広い部分には新しい住まいが完成後に取り壊すことになっている住宅があり、
したがって北側の三角の尖がりの部分に今回の計画の住宅が建てられることになりました。
平面図と画像を参照しながら見ていただけると分かりやすいのですが
大胆にまとめてしまうとTの字の横棒交差部分が共有スペース、横棒の端部と
縦棒が個室スペースです。
共有スペースとは玄関や廊下、洗面所やトイレ、階段、
個室スペースとは居間や和室、寝室、洋間といったところです。
新築住まいが完成後に仮設で生活してきた既設の住まい部分を解体したら
広い南庭が出現したときは感動ものでした。
三角形という土地の条件としては決して有利とは言えないまでも
部屋の一つ一つの細部の使い勝手がうまく配置されています。
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居間の居心地
住宅の中にいることは外部と区画された空間にいることにより、
天候の悪い日には体感的に快適な環境を与えてくれること、
家族のプライバシー個人のプライバシーを確保してくれることにより精神的な健康を与えてくれること、
そして内部での生活時間にその家族なりの快適な使い勝手が存在します。
下は居間とダイニング、キッチンとの位置関係が分かるように画像を並べてみました。
寛ぐ居間があり食事をするダイニングがある、
家族全員が集まるシーンや親しい友人が遊びに訪れたシーン、いろいろ想像しながら眺めてください。
居間からダイニング、キッチンを眺めています。
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居間の玄関ホールからの入り口から居間のピアノやテレビが配置される方向を眺めています。
竹のフローリングは清潔感があって好きです。
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居間の広さ
居間は広いに越したことはないのですが広いだけでは取り止めもなくかえって
使い勝手が悪くなる場合があります。
それは居間が、長時間居ることの多い個室の要素と廊下のような通路の要素、
そして収納としての要素も併せ持っているからです。
部屋の隅、コーナーを人が落ち着く場所として、
物を収納する場所として上手にアレンジするのが良いようです。
下は玄関からの居間の入り口と西面に取り付けた造り付けの収納の部分を撮ってみました。
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玄関ホールの地窓
玄関ホール西面の地窓を居間の出入り口から見下ろしたところです。
玄関引き戸を開けると真正面床面より地窓、その向こうは坪庭になっています。
画像内の向こうのほうに見えているのはお隣の車庫の窓ですが、
これは竣工後はフェンスに隠れて見えなくなります。
私の作品には、よくこの地窓が登場することを知っておられるお付き合いの古い建築主さんがいますが、
こだわりというよりごく自然に提案の中に入ってしまいます。
バリアフリーとかユニバーサルデザイン、省電力、その次に意匠性ということです、
廊下は足元を明るくしておくというごく単純で簡単かつ経験から出てくるという、自然な行為なのです。
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廊下の役目
役所の完了検査の前に下検査をしていた日です。
廊下は和室と並ぶ玄関から北の寝室まで直線で結んでいます、
Tの字の上の横棒を思い描いてください。
画像の手前が寝室、奥に見えているのが玄関と下駄箱です、
車椅子も楽に通過できる巾の廊下途中の右側には洗面所、浴室、トイレと並んでいます。
生活動線がコンパクトに収まっています。
恣意的なデザインに偏ったプランは、
提案としては面白いのですが変化ある長い人生にはクエッションマークです。
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天井の素材
部屋の内装で一般的に天井が一番存在感が薄いように思います。
床は「フローリング」という言葉が市民権を得ているようにスター気取り、
壁はインテリアコーディーターの壁紙選びの発表の場、
天井は両者の引き立て役、といったところでしょうか。
私の設計の場合、断熱層を屋根とする場合が多く天井を張っても天井裏はグラスウールでいっぱい、
とはならず、無くても部屋の上部空間は何らかの用途に生かせる状態です。
すなわち主役に抜擢しています。
この現場では小屋組みの複雑さを露出することはやめて天井に建具に使用するメンテナンス製の良く
以前から色が気に入っていた化粧板を目を透かして張ってみました。
オーソドックスですがクロスを貼ったときのように時間経過と共に緩みが出たりすることも無くなります。
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玄関まわり
玄関には入ってホールに上がった位置から廊下が北へ伸びています。
左脇下に見えているのは玄関正面にある地窓、右手には階段が見えています。
階段には木格子が取り付き、下駄箱上部も置物やのれんなどで
微妙に外来者の視線を遮る工夫をしていくことになっています。
誰もが出来そうなプラン上の工夫ですが、平面図だけの段階から高さや奥行き、
人の動きをを想定していくことは難しいものです。
普段の生活での使い勝手を常に考えていることが大切です。
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