「パッシブ」の考え方を紹介します。
たとえば、冬の昼間の低い角度で居間に差し込む太陽エネルギーを部屋内部の建材に畜熱して
夜間の暖房に利用する。
これは、縁側で膝にネコを抱いてうたた寝をするおばあちゃんの絵を思い浮かべていただくと
理解できるような温まり方です。
この家にはパッシブが楽しめるようにあちこちに仕掛けがしてあります。
設計段階での種々の計算、たとえば構造計算などは、
地震の揺れがこないことには骨組みの硬さを実感していただけないかもしれない、
いやその「硬さ」を感じるほどの揺れはかなりの震度となるだろう。
耐震壁の量のみでなく、その位置が分散されてバランスよく配置されていることにより、
これから幾度となく繰り返される小さな揺れも地面へ受け流してくれることだろう。
温熱計算に軸足をおいての設計であっただけに、私本人としては一定の満足を得られたと感じている。
「パッシブデザイン」とは、機械設備のみに頼り切ることなく建築的方法で
室内環境を快適にするべく計算と造形を追求することです。
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外観において注目していただきたい点は庇の深さと真ん中に見えている窓の大きさです。
冬の太陽高度の低い日射を充分に取り込む窓は大きく、かつ夏のきつい日射を遮る庇は深くしています。
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ご覧のような暖かそうなデザインは見ためだけではありません。
冬の熱エネルギーは床や壁に畜熱され陽の落ちた夕方から夜にかけて効果を発揮します。
あくまでエアコンは補助熱源という考え方が正しいと確信しました。
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取り込んだ熱エネルギーは材料の畜熱力により保存されますがそれには条件があります。
それは建物全体の断熱性と気密性です。
断熱性は材料選択のみで解決できますが、気密性は音の反射という交換条件を生じます、
これを解決するのが吸音材です。
上の画像の正面にある天井はそれを解決するためのものです。
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居間に続く多目的室そして和室です。
上記3室とキッチン、家事室と連続的に配置されています。
パッシブな空間イコール開放型空間です。
何か伝統的な田の字プランを思い浮かべませんか?いつでも家族が集える空間、
親戚一同が集える空間、やっぱり日本人は和を尊ぶ民族だったんです。
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この和室は冬の直射日光が差し込むことはありません。
ある程度の余熱が残りますが一定時間が過ぎるとその効果は望めません。
そんなときは画像右上に見えているエアコンの出番です。
ただしあくまで補助暖房として位置づけましょう。
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