パッシブソーラーという言葉を聞かれたことがありますか?
屋根に発電パネルを並べて発電して、照明器具や給湯、冷暖房の電源として使用すると共に、それらが必要とされない昼間あるいは季節には、電力会社に売電することによりエネルギーの有効利用を図るシステム、最近マスコミにも取り上げられることが多くなり良く知られるようになった「太陽光発電」です。
人工衛星の姿をTVなどで見られることもあるかと思いますが、あの羽根の様に伸びたパネルがそれです。
自治体からの補助金も得られ、ますます普及していく気配です。
また、同様に屋根に液体の触媒液を満たしたパネルを並べて、熱エネルギーを集め、熱エネルギーを運ぶ触媒をポリブデン管という半永久的に腐食することの無い配管で建物内を巡らせ、配管が床下土間内にあれば床暖房として、ボイラーへ入れば給湯して台所や浴室にお湯としてその熱エネルギーを利用する。
最近は上記の2例の他にも方式はたくさんありますが、これらは「アクティブソーラー」といって、機械の力を借りた、正に力づくの方法です。
したがって、機械に頼ることによるデメリットは避けられません。
これらに対して、「パッシブ」の考え方を紹介します。
たとえば、冬の昼間の低い角度で居間に差し込む太陽エネルギーを部屋内部の建材に畜熱して夜間の暖房に利用する。
これは、縁側で膝にネコを抱いてうたた寝をするおばあちゃんの絵を思い浮かべていただくと理解できるような温まり方です。
一時期サンルームというのが流行しましたが、日本の伝統的「広縁」と共通した利点がありますが、断熱された縁側室内に畜熱性のある材料を使用することにより、日差しから取り込まれた熱は一定時間そこに留まろうとします。
サンルームという言葉の響きから想像される明るいイメージではありませんが、まさにネコが好みそうな、ゆったりとした暖かさです。
畜熱材としてはやはり伝統的な木材や土など自然素材が良いデータを出します。
力もなく、頼りなく期待できるほどでもないが、気持ちよい暖かさを体感できる。
冬の寒い日の縁側にたまった陽だまりが気持ちよかった記憶のある方は少なくないのではないでしょうか。
アクチィブソーラーのような明確な効果は感じられませんが、ジワリとした感覚、これこそが「パッシブソーラー」の真髄です。
夏の昼間の日差しは庇で遮ってしまうのが最善のようですが、夜間の地上付近を北窓から、そよ吹くすずしい風は床下から取り込んでやり、気密力と断熱力で補い利用できます。
「Sさんの家」(作品集に紹介してあります)にはそんなパッシブ生活が楽しめるようにあちこちに仕掛けがしてあります。
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