建築工事の請負契約書を交わさないこと自体が考えられないことですが、人間関係とは面白いものです。
都市部では契約書を取り交わさないことはまずないでしょうが、私の住む街(岐阜県揖斐川町という空気のきれいなところです)では、契約社会の冷たさを嫌う人は少なからずいらっしゃるようです。
ある意味では暮らしやすいということなのでしょう。
相手を信頼することからスタートするのが本来の姿なのですから、設計から始まって1年も経過すれば、お互いのことも分かり合い、いよいよ着工ともなれば、「いまさら形式にこだわらなくてもいいや」と思われる人も出てくるのは当然、私もそんな場面に何回か出くわしました。
これは順調に計画が進行している証拠ですから喜ばしいことです。
しかし、よく建築現場は生き物だなんて言っているのですが、工事中にも予期しないことが起こるのがほとんどなのです。
工事には直接関係しないことだって起こりえます。
設計変更を余儀なくさせられることもよくあります。
設計図、仕様書(工事のやりかたを明細に書いたもの)、見積内訳書等を契約書に添付して、工事内容や支払方法をはっきりさせて上で、つまり信頼関係を形に残しておいて工事に入ってください。
当然、金融機関もお役所にも契約書が必要な場面がありますし、設計者も工事監理に集中できますから、是非、工事をあせることなく請負契約を結んでおいてください。
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