さりげない数奇屋
|
既設の母屋(おもや)の南側には今回の新築建物を予定しての宅地、
そのさらに南側と東側は自己所有の耕作地(田)が接しています。
敷地全体の接する公道から入り、北から母屋、中庭、新築建物といった順序に平行に並ぶ配置となり、
母屋と新築建物は廊下で繋がらずに玄関が向かい合っている状態になります。
3世代が同居する形態としては、この揖斐川町では一般的なパターンでしょう。
結婚してしばらくは両親と同居し、ひとつの家族としての落ち着きが出来上がり、
子供さんが小学生、中学生となり独立心が芽生えてからの別棟で「スープのさめない距離」に
新築するという、時間の流れと家族の成長と生活環境の変化が、自然に調和しています。
ご家族の雰囲気もここまで説明すれば言わずもがなの安定感のある温かい雰囲気に包まれている。
こういう場合総2階というのは似合わない。
画像のように広い敷地を生かして1階のスペースに余裕をとることにより、
子供が独立し夫婦2人だけの生活が巡ってきたら、1階だけの生活が不自由のないようにするということ。
敷地の遠景を眺めても、母屋と新築住居が相似形で、安定感に包まれている。
住宅のデザインというのはコンペに出品するためのインパクトのある、
「媚びるような」美しさがあってはいけないと考えています。
この建物はおとなしいですがそんな美しさを感じませんか
|

西北よりの外観
一見平屋のような雰囲気をもつのは故意にそうしています、2階の高さを標準より30cm低くしたこと、
1階の庇の深さを大きくとったことによります。
|

北側より
横のラインを強くすると落ち着きと安定感がでてきます。
手前の植樹は以前よりあったもので、図らずもうまい具合に建物を引き立てる位置にきてくれました。
|

居間、台所の南面
入っている日差しは秋の終わりの頃です。
どれだけ予算が不足しても断熱サッシを外すことに反対します、
この日差しの温かさが手に入らないからです。
|

西南面外観
北側の玄関は南に日の入る居室が並び、深い庇も容易に取れて、「健康的なプラン」といえます。
|

このアングルはこの建物の美しい顔を探しながら撮りました。
外壁の色合いは沢山の実際に使用した見本吹きを貯め込み、
その中のデータから検討して得た色調です。
|

南の耕作地よりの外観
南の隣地には総2階の建物が建っていますが、見えている位置にまでしか影がきません。
羨ましい環境です。
|

台所から居間を見渡す
|

北面に走る東西の廊下
画像左下の明かりの指す部分は風入れ兼用の地窓、
北よりの風を入れる隙間を作ることを忘れないように。
廊下の巾は内法で1mにはなるように。
|

2階の高さを低くしてありますが天井は低く感じません。
そのため子供室の隅に出ている火打ち(水平スジカイ)です。
こういったものは隠さないで見せるのが主義です。
|

子供室収納
屋根裏のちょっとしたスペースが収納力を発揮するときがあります。
必要以上に大きな押入を沢山作るより、面倒でも収納したい物と場所を整理してみると
収納上手に使えます。
|
|